
腕時計は、単なる時間を知るための道具以上の価値を持つことが多いものです。愛着のある一本、特別な記念に手に入れた一本、代々受け継がれてきた一本。
これらを最適な状態で保ち、長く使い続けるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。その中でも最も重要なのが「オーバーホール」です。
本記事では、オーバーホールの重要性から、信頼できる業者の選び方、そして数ある業者の中から特に優れた7社を厳選してご紹介します。
時計のオーバーホールとは?
オーバーホールとは、時計の内部機構を完全に分解し、部品一つひとつを洗浄、点検、摩耗した部品を交換し、再度組み立てて注油・調整を行う一連の作業を指します。いわば、時計にとっての人間ドックや車検のようなものです。
オーバーホールが必要な理由
オーバーホールを疎かにすることは腕時計の劣化や故障に繋がってしまいます。まずはオーバーホールの必要性を理解しましょう。
潤滑油の劣化
時計の内部には、数百もの微細な部品が組み合わさって動いています。これらの部品の摩擦を減らし、スムーズな動作を保つために潤滑油が使われていますが、この油は時間とともに劣化し、固まったり蒸発したりします。潤滑油がなくなると、部品同士が直接擦れ合い、摩耗が急速に進んでしまいます。これは、時計の精度低下や、最悪の場合は動作停止につながる深刻な問題です。
部品の摩耗
時計は常に動き続けているため、歯車や軸受けなどの部品は少しずつ摩耗していきます。オーバーホールでは、この摩耗状態を詳細にチェックし、交換が必要な部品を特定します。早期に摩摩耗部品を交換することで、より大きな故障や高額な修理費用を防ぐことができます。
内部への異物混入
日常生活で使う時計は、小さなホコリや水分が内部に侵入する可能性があります。オーバーホールでは、分解時にこれらの異物を徹底的に除去します。
パッキンの劣化と防水性の低下
リューズや裏蓋に使用されているパッキンは、時計の防水性を保つ上で非常に重要です。しかし、パッキンはゴム製であるため、経年劣化によって硬化し、ひび割れを起こします。これにより防水性が低下し、内部に水が侵入するリスクが高まります。オーバーホール時には、パッキンも新品に交換されるのが一般的です。
オーバーホールの適切な頻度
機械式時計の場合、一般的には3年から5年に一度のオーバーホールが推奨されています。クォーツ時計は機械式時計ほど頻繁な分解洗浄は必要ありませんが、やはり内部の潤滑油やパッキンの劣化は避けられません。電池交換の際に内部の状態をチェックしてもらうなど、5年から7年を目安に一度はオーバーホールを検討すると良いでしょう。
信頼できる業者を選ぶためのチェックリスト
大切な時計を預ける業者を選ぶ際には、料金の安さだけでなく、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
技術力と実績
最も重要なのは、その業者の技術力です。メーカーの修理部門で長年経験を積んだ職人がいるか、国家資格である時計修理技能士の資格を持つ技術者がいるかなどを確認しましょう。また、特定のブランド(例:ロレックス、オメガなど)に特化した知識や実績があるかどうかも判断材料になります。
料金体系と見積もりの透明性
オーバーホールにかかる費用は、時計のブランドやモデル、状態によって大きく異なります。
- 基本料金:オーバーホール作業自体の基本料金です。
- 部品代:摩耗や破損した部品の交換費用。
- オプション料金:外装の研磨(ポリッシュ)やガラス交換など、追加で依頼する作業にかかる費用。
これらの料金が明確に提示されるか、見積もりが無料か、キャンセル時の費用はどうなっているかなどを事前に確認することが大切です。安価な料金を謳いながら、後から不透明な追加費用を請求する業者には注意が必要です。
納期とアフターサービス
オーバーホールには通常、数週間から数ヶ月の時間がかかります。
- 納期:提示された納期が現実的か、遅延の可能性はどの程度かを確認しましょう。
- 保証期間:多くの信頼できる業者は、オーバーホール後の一定期間(通常は1年間)に無償修理保証をつけています。この保証内容がどこまでカバーしているかをしっかり確認することが重要です。
正規店と専門店の比較
項目 | 正規店(メーカー) | 専門店(独立系修理業者) |
---|---|---|
技術力 | メーカー独自の厳しい基準と専門工具を使用。 | 熟練した技術者が多い。幅広いブランドに対応。 |
料金 | 一般的に高額。 | 正規店より安価な場合が多い。 |
納期 | 長期間(数ヶ月〜)かかる場合が多い。 | 正規店より短期間で完了することが多い。 |
部品 | 純正部品を確実に使用。 | 一部汎用部品や、入手ルートを確保した純正部品を使用。 |
特徴 | メーカーの品質を重視する人向け。 | 費用や納期を重視する人向け。 |
このように、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の優先順位に合わせて選択することが大切です。
ブランド別オーバーホール費用の目安と注意点
オーバーホールの費用は、ブランドやモデル、時計の状態によって変動します。ここでは主要ブランドごとの一般的な傾向と、注意点について解説します。
ロレックス
ロレックスのオーバーホールは、正規店、専門業者ともに非常に多くの実績があります。
費用感
オイスターパーペチュアルやデイトジャストなど3針モデルの場合、正規店では5万円〜8万円程度、専門業者では3万円〜6万円程度が一般的です。クロノグラフ機能を持つデイトナなどは、さらに高額になります。
注意点
ロレックスのオーバーホールには、メーカーが指定する純正部品の使用が推奨されます。多くの専門業者は純正部品のルートを確保していますが、念のため確認しておくと良いでしょう。
オメガ
オメガもまた、多くの専門業者が得意とするブランドです。
費用感
スピードマスターやシーマスターなどの3針モデルの場合、正規店では6万円〜10万円、専門業者では4万円〜8万円程度が目安です。
注意点
オメガの時計には、独自の「コーアクシャル脱進機」を搭載したモデルがあります。この機構は特殊なため、コーアクシャルに精通した技術者が在籍している業者を選ぶことが重要です。
カルティエ
カルティエは、その繊細なデザインと独特な機構を持つモデルが多いため、専門的な知識が不可欠です。
費用感
タンクやサントスなどのクォーツ式で2万円〜4万円、機械式で4万円〜8万円程度が一般的です。
注意点
カルティエはデザインが命とも言えるブランドです。外装の研磨を依頼する際は、ケースの美しい曲線を損なわないよう、高い技術力を持つ業者を選ぶことが大切です。
その他の高級ブランド
- タグ・ホイヤー:クロノグラフを搭載したモデルが多く、オーバーホール費用はやや高めになる傾向があります。
- ブライトリング:プロフェッショナルな計器としての機能を持つモデルが多いため、高い技術力が求められます。
- パネライ:ムーブメントの多くはETA社製のものをベースとしていますが、近年は自社製ムーブメントも増えています。自社製ムーブメントのモデルは、専門業者でも対応できるか確認が必要です。
おすすめの時計修理・オーバーホール業者ランキング
ここからは、信頼性とサービス内容から特におすすめできる時計オーバーホール業者を7社ご紹介します。各社の特徴を比較検討し、ご自身の時計に最適なパートナーを見つけてください。
【1位】CIEN
など大阪-東京新宿-郵送で対応-08-02-2025_08_07_PM-1024x463.jpg)
CIENは、卓越した技術力とリーズナブルな価格設定で多くの時計愛好家から支持を集める修理業者です。メーカー修理部門で長年腕を磨いた熟練の技術者が在籍しており、高い品質を誇ります。
在籍する技術者の技能水準が非常に高く、複雑な機構を持つ高級時計の修理にも対応しています。納期は約3週間という比較的短い期間でオーバーホールが完了し、独自の部品調達ルートや効率的な作業フローによりメーカー修理の最大60%OFFという低価格も実現しています。
ロレックス、オメガ、タグ・ホイヤー、ブライトリング、パネライなど、主要な高級ブランド全般の対応はもちろん、オーバーホール後には1年間の保証が付いており、万が一の再不具合にも対応してくれるところも魅力的です。
【2位】ALLU WATCH REPAIR

ALLU WATCH REPAIRは、ブランド品買取・販売で有名な「ALLU」が手掛ける時計修理専門店です。大手企業が運営しているため安心感があり、豊富な経験と実績を持つ技術者が在籍しているので質の高いサービスを提供しています。
買取店を併設している店舗も多く、修理か売却かで迷っている方にも相談しやすい環境です。多種多様なブランドの時計に対応していて、修理やオーバーホールだけでなく外装の研磨やガラス交換などのオプションサービスも充実しています。
事前のおおよその見積もりも可能で、料金の目安を把握しやすいのも特徴です。
【3位】リペスタ

リペスタは、特にアンティーク時計やヴィンテージ時計の修理を得意とする修理業者です。現行モデルから希少なモデルまで幅広く対応し、古い時計を蘇らせる技術に定評があります。
稀少な時計の修理には現行モデルとは異なる高度な知識と技術が求められますが、リペスタはそうした要求に応えるだけの職人技を持っています。時計の状態やオーナーの要望を丁寧に聞き取り、最適な修理方法を提案してくれます。
ロレックス、オメガ、カルティエといった高級ブランドのヴィンテージモデルから、国産のアンティーク時計まで幅広く対応しているところも魅力です。
【4位】WATCH COMPANY

WATCH COMPANYは、確かな技術力と明朗会計をモットーとする時計修理専門店です。ウェブサイトを通じて、料金や納期に関する情報をオープンに公開しており、初めての方でも安心して利用できます。
宅配での修理依頼も可能で、遠方にお住まいの方でも手軽に利用できます。ウェブサイト上で進行状況を確認できるシステムも便利です。
これまでに数多くの時計を修理・オーバーホールしてきた実績があり、そのノウハウが品質に活かされています。
【5位】オロロジャイオ

オロロジャイオは、ロレックスの修理・メンテナンスに特化した専門業者として知られています。ロレックスの修理・オーバーホールに特化しているためその専門知識と技術力は非常に高いレベルにあり、多くのロレックスオーナーに選ばれています。
純正部品の確保にも力を入れており、品質を重視するオーナーにとって安心材料となります。また、オーバーホールだけでなく、外装の研磨、ブレスレットの調整・修理なども一貫して依頼できます。
専門的な知識と確かな技術力に加え、顧客一人ひとりに寄り添った丁寧なヒアリングと説明も心がけているので、安心して時計を預けることができます。
【6位】時計修理工房
-08-03-2025_12_57_AM-1024x463.jpg)
時計修理工房は、全国に店舗を展開する時計修理専門店です。気軽に立ち寄れる店舗の利便性と確かな技術力を両立させています。
全国各地に店舗があるため、実物を持ち込んで直接相談できるのが大きなメリットです。料金体系も明確で、事前に詳細な見積もりを確認できます。
機械式時計からクォーツ時計まで幅広いタイプの時計に対応していて、オーバーホールだけでなく、電池交換、外装の研磨、ベルト交換など、時計に関するあらゆるメンテナンスを依頼できます。
【7位】千年堂

千年堂は、創業から長年にわたる歴史と実績を持つ老舗の時計修理専門店です。古くから培われてきた職人技と、最新の技術を融合させることで、質の高いサービスを提供しています。
長年の歴史に裏打ちされた信頼と安心感があり、伝統的な技術に加え、最新の設備も導入することで幅広いブランドやモデルに対応しています。
一つ一つの時計に時間をかけ、丁寧な手作業でオーバーホールを行っているので細部まで行き届いたメンテナンスが特徴です。ロレックス、オメガ、ブライトリングといった高級ブランドから、セイコーやシチズンといった国産ブランドまで、多岐にわたる時計に対応しています。
まとめ
時計のオーバーホールは、時計の性能を維持し将来的な高額な修理費用を防ぐための大切な投資です。正規店と専門店のそれぞれのメリットを理解し、今回ご紹介した7社の特徴を参考にご自身の時計に最適なオーバーホール業者を見つけてください。
定期的なメンテナンスを行うことで、あなたの時計はこれからも時を刻み続けかけがえのないパートナーであり続けることでしょう。